VANITY摘発に見る風営法とクラブの関係

昨日、六本木のVANITYが警察に摘発されたようです。

VANITYは六本木のロアビルにある、いつもラーメン屋のように行列ができているクラブです。

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さて、VANITYが警察に摘発されたという話ですが、最近六本木界隈のクラブは結構摘発されていて、今後が心配になってきます。

去年は西麻布のalifeが摘発され潰れました。その後alifeは音楽喫茶パールとして生まれ変わったが、パールは短命で終了。alifeの跡地には、最近BRAND TOKYOという店ができたが、ダンスは12時まで、その後の時間はラウンジのみの通常の飲食店として営業するようです(B1のダンスフロアは12時でクローズ)。

このBRAND TOKYOの営業スタイルはまさに風営法との関係で説明できます。

今回のVANITYの件は、風営法違反ということが摘発の原因でしょう。クラブと風営法の関係について、細かく分析してみようと思います。

風営法の正式名称は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」で昭和23年に制定されています。戦後の昭和20年代は、今日まで続く、様々な基本的な法律が制定された時期でしたが、風俗業を規制する業法もこの時期に制定されたようです。

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「風俗営業」とは?

まず、「風俗営業」とはそもそも何でしょうか。

第2条で以下のように書いてあります。クラブは第3号で読みます。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(用語の意義)

第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。

一 キヤバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業

二 待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

三 ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)

四 ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第一号若しくは前号に該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く。)

五 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた客席における照度を十ルクス以下として営むもの(第一号から第三号までに掲げる営業として営むものを除く。)

六 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの

七  まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業

八 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

2~11 (略)

これらの事業を営む場合、第3条に基づき、公安委員会の許可が必要となります。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(営業の許可)

第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

2 公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

許可の基準は、第4条に基づき、国家公安委員会規則で定められています。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(許可の基準)

第四条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。

一~九 (略)

2 公安委員会は、前条第一項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。

一 営業所の構造又は設備(第四項に規定する遊技機を除く。第九条、第十条の二第二項第三号、第十二条及び第三十九条第二項第七号において同じ。)が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。

二 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。

三 営業所に第二十四条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則

(構造及び設備の技術上の基準)

第八条 法第四条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める技術上の基準は、次の表の上欄に掲げる風俗営業の種別の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるとおりとする。

風俗営業の種別 法第二条第一項第一号又は第三号に掲げる営業

構造及び設備の技術上の基準

一 客室の床面積は、一室の床面積を六十六平方メートル以上とし、ダンスをさせるための客室の部分の床面積をおおむねその五分の一以上とすること。
二 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
三 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
四 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
五 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
六 第二十九条に定めるところにより計つた営業所内の照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
七 第三十一条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。

まず、この66平方メートル以上(ダンスフロアはその1/5以上)という点で、小箱はアウトかもしれませんね。

更に風営法第13条では、営業時間の規制がかかっており、原則午前0時までしか営業できません。大半のクラブはこの規定で完全にアウトでしょう。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(営業時間の制限)

第十三条 風俗営業者は、午前零時(都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として条例で定める日にあつては当該事情のある地域として当該条例で定める地域内は午前零時以後において当該条例で定める時、当該条例で定める日以外の日にあつては午前一時まで風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内に限り午前一時)から日出時までの時間においては、その営業を営んではならない。

 都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、前項の規定によるほか、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。

つまり、大半のクラブは、風俗営業ではなく単なる飲食店として営業をしていることになります。要するにバーとかと同じ扱いで、この場合も公安委員会に届出は必要です。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)

第三十三条 酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 営業所の名称及び所在地

三 営業所の構造及び設備の概要

ここまでで、クラブと風営法の関係を見てきましたが、客にダンスをさせている以上、本来は風俗営業の許可が必要なのに許可を受けていないということです。

風営法も一般の業法と一緒で、監督官庁(風営法の場合は公安委員会)の報告聴取や立入検査が認められているし(第37条)、当然営業停止命令も出せます(風俗営業に対しては第26条、飲食店営業に対しては第34条)。

クラブの場合、風俗営業としての許可を受けていないから、第26条ではなく第34条を根拠に営業停止ということになるのでしょう。第2条第2項の「風俗営業者」の定義でも、許可を受けて風俗営業を営む者とされていますし。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

第2条 (略)

 この法律において「風俗営業者」とは、次条第一項の許可又は第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けて風俗営業を営む者をいう。

(報告及び立入り)

第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第六号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。

一 風俗営業の営業所

二 店舗型性風俗特殊営業の営業所

三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所

四 店舗型電話異性紹介営業の営業所

五 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所

六 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)

3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(営業の停止等)

第二十六条 公安委員会は、風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第三条第二項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該風俗営業者に対し、当該風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 公安委員会は、前項の規定により風俗営業(第二条第一項第四号、第七号及び第八号の営業を除く。以下この項において同じ。)の許可を取り消し、又は風俗営業の停止を命ずるときは、当該風俗営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む飲食店営業について、六月(前項の規定により風俗営業の停止を命ずるときは、その停止の期間)を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(指示等)

第三十四条 公安委員会は、飲食店営業を営む者(以下この条において「飲食店営業者」という。)又はその代理人等が、当該営業に関し、法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該飲食店営業者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。

 公安委員会は、飲食店営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は飲食店営業者がこの法律に基づく処分に違反したときは、当該飲食店営業者に対し、当該施設を用いて営む飲食店営業について、六月を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

まとめると、今回のVANITYの件は、風営法上の風俗営業の許可を受けていないのに、客にダンスをさせていた疑い(要するに風俗営業の無許可営業)で公安委員会の立入検査をくらったと推察されます。この後の流れとしては飲食店営業者としての営業の停止をくらって閉店に追い込まれてしまうということですかね。

しかも、無許可営業には刑事罰もくっついてくるので、経営者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金(又は両方)という結果がありえます。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者

二 ~六 (略)

ただ、色んなサイトの解説とかを見ていると、風俗営業の定義の「客にダンスをさせ」というところで、店側ではなく、イベントのオーガナイザーが客にダンスをさせていたのであって、店側は場所を貸しただけというグレーな解釈もありうるようです。

これは、イベントなどをやっていないときには通用しなさそうな解釈ですが。

いずれにしても、VANITYの今後は絶望的だと思うし、他のクラブも同じような営業形態である以上、そのうち摘発される可能性はあるでしょう。

公安委員会の取り締まりの基準がよくわからないからなんともいえませんが、うまくやれば、取り締まりから逃れたりできるのだろうか。

それにしても、六本木からクラブが一掃されるみたいなことにはならないでほしい。

※クラブと風営法の関係は以下の本が詳しいです。色々な論者が様々な観点から分析しています。

踊ってはいけない国、日本 ---風営法問題と過剰規制される社会

踊ってはいけない国、日本 —風営法問題と過剰規制される社会

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