競争戦略から見たオンラインコンテンツ市場

1年くらい前からオンラインサロンの開設が一般人にまで広がり始め(それまでは、開設者は有名人がメインだった)、さらに最近は、その勢いがどんどん拡大している。

しかし、私の見方は結構冷めたもので、シニカルに言えば、「人生を豊かにする」というたった1つの目的を考えても、何個のオンラインサロンに入らなければいけないんだ、というほどにオンラインサロンが乱立している。

スポンサーリンク


私の見立てでは、これは完全な一時的ブームに過ぎず、何かの需要を一時的に取っているに過ぎない。日本人の可処分所得が大幅に増えたわけではない。他の用途に使っていたお金がブームとして流れているだけである。

割を食っているので、元々あったサービスだ。
何の需要を奪ったのかというと、一義的には書籍などの実情報の需要だろう。
もっと広く見ると、テレビを見る時間が減って、スマホを見る時間が増えた。さらに、無料から有料のコンテンツが増えたということであれば、可処分時間も見ると、テレビなど他の余暇との競合関係にあるのかもしれない。

ここら辺のどこまで競合関係なのかという分析は深入りすると難しいので、これくらいにしておく。一般的な感覚では、その商品と別の商品が横に並んでいたときに、どっちを選ぶのか迷うようなものであれば、競合関係にあると言えるだろう。

基本的には、オンラインサロンといったものは一時的ブームだと思っているのだが、これまでのB2C経済から、C2C経済、シェア経済への移行といった、大きなトレンドは確実にあると思うので、いわゆるC側がサプライヤーになるといったこと自体は今後も増えていくとは思う。

一方で、一番疑問に思うのは、オンラインサロンをはじめとしたC2Cビジネスの片側のサプライヤー側にとって、これは継続的なビジネスなのかという点である。

C2Cを媒介するプラットフォーム側はいい。手数料ビジネスなので、一度システムやノウハウを構築すれば、いかに人を集められるか(C2Cの両側のCを増やす)に注力すればよく、専門用語で言えば、規模の経済性やネットワーク効果が効きやすいし、限界費用も小さい。

しかし、C2Cの片側のCとしてサプライヤーになることはそんなにうまみがあるのだろうか。
冒頭のツイートにもあるとおり、C2Cの片側のCとしてサプライヤーになる参入障壁はかなり低い。あなたにとってオンラインサロンの開設者になるのはとても簡単なのだ。しかし、言い換えると、他の人にとってもオンラインサロンの開設者になるのはとても簡単で、あなたがオンラインサロンで儲かっていることを周りが知れば、(あなたのサービスに代替性がある限り、)みんな参入してきて、利益はあまり出なくなるだろう。

ポーターの5フォースで言えば、競争者も多いし、顧客からの圧力も大きそうだ。さらに言えば、プラットフォーマーに依存しているので、取引先からの潜在的圧力を常に受け続ける。例えば、シナプスやDMMが急に手数料を上げてくるかもしれない。本質的には、AppleやGoogleのポリシー違反でstoreからアプリ掲載をリジェクトされる話と同じである。

したがって、相当な競争優位を持っているスキルやプロダクトがあったり、既に先行者利益を得ていてスイッチングが起こらない仕組みを構築できているのであればよいが、そうでなければ、事業(副業でもいい)の中核に置くのは、個人的にはあまり筋がよくないように思える。

不労収入のような継続的にキャッシュが入るビジネスを持っておくべき、資産になるような有料コンテンツを作るべきという論法がある。私は、総論的に安定収入が必要という話には賛同するが、少なくともオンラインサロンや単発有料コンテンツみたいなものは、安定した家にはならないのではないかと思える。

考え方の根本はタイムスパンの問題である。例えば、アラサー世代であれば、あと40年~50年くらいは何らかの収入を得て生きていかなければならない(収入には年金を含む)。
この点、オンラインのコンテンツは、土地や実業みたいなものに比べると、やはり賞味期限は短い。
書籍ですら数年間売れ続けるのは稀である。ましてや(長期的な)露出がそもそも少ないオンラインコンテンツの賞味期限はもっと短いのではないだろうか。

短期的(私のイメージでは~2年)に収入を増やす手法としてであればオンラインサロンや単発有料コンテンツはちょうどよいと思えるが、より長期の目線でオンラインコンテンツで生きていこうなどという人は、どれくらいいるのだろうか。

仮に、それをやるとすれば、はあちゅう氏やイケハヤ氏のように、顔や名前を売り、つまり自分自身を商品化するのが一つ。

別の道としては純粋にコンテンツの内容だけで勝負するというのもありえるが、そうすると、既に大きなファンを抱え良質コンテンツも抱えている巨人との真っ向勝負にもなりかねない。
例えば、実名なら田端信太郎氏、匿名ならちきりん氏、藤沢数希氏レベルを想定する必要がある。
この人たちと同じ領域で同じレベルでコンテンツを作っても勝負にならず、同じような内容であれば、このような巨人たちには勝てない。

最後に、あり得るのは、今までにはない発想を持ったような次元の人物だ。キングコング西野亮廣氏などが典型例だろう。常人レベルを遥かに超えているビジネス感覚の持ち主だ。一般の素人がそのレベルまで到達できるだろうか。

とりとめもないが、まとめると、やはり競争市場に後発で参入するのは、参入障壁が低いほど、筋が悪いということだ。

実際にやっていないのに偉そうなことを言うなという意見もありそうなので、この辺にしておく。誤解がないように一応言っておくと、寄りかかる収入としてではなく、例えばマーケット感覚を身につけるためなど、別の目的でオンラインコンテンツを作るのはもちろんありである。

「あなたが参入できるなら、隣の誰かも参入でき、利益は必然的に分割されるのである。」

スポンサーリンク


スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク